「同一労働同一賃金」という単語を聞いたことのある経営者は多いだろう。
しかし、同一労働同一賃金にどんなメリットがあり、どんな意味があるのかということについて詳しく知っている人は少ないのではないだろうか。
ここでは、そんな同一労働同一賃金について簡単に説明していく
同一労働同一賃金とは
同一労働同一賃金を簡単に説明すると「仕事の内容が同じ場合は、バイトでも社員でも関係なく給料は同一にすべし」という決まり事だ。
給料だけではなく、福利厚生などの待遇も同じものにして、給与や待遇での格差をできるだけ減らそうという試みのもと、この制度が考えられた。
なお、この制度は主に欧米で考えられている制度であり、現在の雇用問題を考え、国が2016年にガイドラインを制定した。
なぜこのような制度が考えられたか、それは給与格差による低所得者の生活面の問題だ。
給与が低いことによる生活面の悪化、それに伴うモチベーションの低下、そしてモチベーションの低下によるキャリアアップの困難度の上昇と、待遇格差による悪循環が発生しているため、それを解決するための制度と言えるだろう。
多くの企業では作業の多くをアルバイトやパート、契約社員といった非正規雇用者が多数を占める企業も珍しくない。
そんな企業で非正規雇用者のモチベーションダウンは業績の悪化に繋がりかねないのだ。
よって、同一労働同一賃金が導入され、多くの企業がこれを実施した場合、モチベーションアップによる業績の向上が考えられている。
2019年5月現在の同一労働同一賃金の現状
そんな同一労働同一賃金だが、現状は全くといってよいほど行われていないのが現状だ。
というのも、同一労働同一賃金を導入するのであれば大幅なルール変更が求められることになるからだ。
特に、非正規雇用者を多く抱えている企業はすべてを正社員と同じ給料した場合、出費が一気に倍以上に膨れ上がってしまう。
そうなると全体的に給料を減らさなければならないが、そうしたら今度は正規雇用者の正社員が不満を感じモチベーションが下がってしまう。
では人数を減らしてバランスを取ればいいのかと思いきや、今度は人手不足で経営が成り立たなくなってしまう。
このように、同一労働同一賃金を導入したとたん様々な問題が吹き出ることになるのだ。
その結果会社が潰れてしまっては本末転倒なため、同一労働同一賃金を本格的に導入するには様々な問題点のクリアをしなければならないのだ。
国が求められる対策
同一労働同一賃金に対する問題点は、国も当然ながら把握している。
そのため、国側でもある程度の問題解決のためのサポートは行っているのだ。
例えば、厚生労働省では2020年の完全施行に向け、ガイドラインを始め様々なマニュアルの制作を行い、改善案やアドバイスの例を紹介している。
また、働き方改革推進支援センターによる事業者向けの無料相談支援やキャリアアップ助成金の支給などを行っている。
また、事業者だけではなく労働者向けの支援も行っており、労働局にて法理や待遇格差についての問題などを無料相談で受け付けているなどされている。
なお、ガイドラインはあくまでガイドラインであり、法的な決定権はない。
相談やセミナーは積極的に
同一労働同一賃金でわからないことや、導入したいがどのような問題点があるのかわからない場合は、セミナーや相談所などに参加し、徹底的に不明点を解消するように務めよう。
セミナーは優良の場合もあるが、相談所では国が運営しており、わからないことに関しての答えも無料でわかるし、ある程度のアドバイスを受けることだって可能だ。
不明点は早期に解消し、2020年に備えて問題点が無いようにしておこう。